製品動画のローカライズで最も多い失敗は、中国語スクリプトを機械翻訳してそのまま生成することです。英語版は映像より数秒長くなり、スペイン語版では型番が別の文字列として読み上げられ、口調も同じブランドらしさを失います。原因は音声生成ではなく、4つの作業を1つにまとめてしまったことにあります。1本の製品動画への多言語音声トラックは、実際には分けて扱う4つの仕事です。まずローカライズ可能なソーススクリプトを整理し、各言語の話し言葉版を用意し、言語ごとに対応するボイスを選び、最後に各トラックの実測尺で映像に合わせます。PixMind のテキスト読み上げが担うのは、このうちの1つ、各言語の確定テキストをMP3にする部分です。翻訳と校閲は、ツールに入る前に済ませておきます。
テキスト読み上げを開くして、各言語の確定テキストをセグメントごとに貼り付け、1段ずつ生成・ダウンロードしましょう。
要点
- 4つの作業は分けて行います。ソーススクリプトの整理、各言語の話し言葉版、言語ごとのボイス選び、実測尺による映像合わせです。
- テキスト読み上げは入力されたテキストを読み上げるだけで、翻訳はしません。各言語の確定版は、ツールの外の翻訳・校閲プロセスで仕上げます。
- ボイスは言語ごとに選びます。発音の正確さとブランドトーンの適合を優先し、言語間で同一の声であることは求めません。
- ページに保持される結果は1セグメントだけ。ダウンロードしたMP3は pixmind-tts- で始まるため、言語とバージョンでリネームして保管します。
まずローカライズ可能なソーススクリプトを整理する
ソーススクリプトは「中国語のセリフ」ではなく、すべての言語版の母体です。1回整理しておけば、翻訳・校閲・ナレーションのすべてが同じ材料から出発し、後戻りの手間が減ります。
整理の中心となる作業は欄分けです。「翻訳できるテキスト」と「統一すべきブランド用語」を分けます。製品名、型番、スローガン、社名は後者に当たり、まず各言語版での表記を固定します。原文のままにするか、音訳にするか、ローカライズ転写にするか。決めたら、以降のすべてのセグメントはそれに従います。型番の英数字列は特に厳密に。同じ型番を各言語版で同じ書き方で入力しないと、ボイスごとに独自の読み方が生まれ、何通りもの発音にばらけてしまいます。
翻訳対象テキストはショット単位で区切ります。製品動画のナレーションはもともと短く、冒頭・デモ・結びで分ければ各セグメントが1つの映像ウィンドウに対応し、これが後の生成と字幕の骨格になります。1回の生成には文字数上限があります。未ログインと無料プランは各100文字、有料会員は10000文字。ショット単位で分けたセグメントは通常、上限をはるかに下回ります。
整理が終わったソーススクリプトは1枚の表になり、各行にショット内容、映像尺、固定用語、翻訳対象テキストが揃います。この表は、訳文の校閲と字幕制作の下書きも兼ねます。
各言語の話し言葉版を用意する
まず境界線を明確にしておきます。テキスト読み上げページは入力されたテキストを処理するだけで、翻訳は代行しません。各言語版は、自分のテキスト準備プロセスで翻訳と校閲を済ませ、確定してから音声ツールに入れます。
直訳原稿は、そのままでは使えないことがほとんどです。製品冒頭ナレーションの英語版を例にします。
- 直訳版:“This cup can complete the juicing of fruit within thirty seconds, and it is also very easy to clean.”
- 話し言葉版:“Fresh juice in thirty seconds. Cleanup? Just rinse it.”
直訳版は文法的に正しいものの、中国語の長文を単語ごとに訳したもので、息継ぎなしで読み切るはめになり、ネイティブ広告の口調からも外れています。話し言葉版は2つの短文に組み替え、途中に疑問文でワンブレスを作り、リズムを映像に合わせやすくしています。この工程はどの言語でも必要です。その言語に精通した人に直訳原稿を「話し言葉」へ書き直してもらい、数値の読み方、単位の換算、呼称の慣習も一緒に処理しましょう。
校閲済みの確定版は、テキストボックスに貼り付ければ生成できます。ツールは原稿修正を担いません。役割分担は明快で、テキストの問題は校閲プロセスに戻って直し、ツールで調整するのは発音と尺の問題だけです。
言語ごとに対応するボイスを選ぶ
ボイスは各言語で個別に選びます。1セットのボイスですべての言語を賄うことはできません。「ボイスを選択」のモーダルを開き、上部でエンジンを切り替え、「言語」プルダウンで対象言語を絞り込みます。言語の選択肢は現在のエンジンのボイスカタログ由来で、エンジンを変えると一緒に変わります。ボイスカードにマウスを乗せると、サンプルをそのまま試聴できます。
多言語シーンの判断基準は3つです。1つ目、アクセントを対象市場に合わせること。同じスペイン語でもラテンアメリカとスペインでは聞こえ方が違い、絞り込みと試聴の際に注意します。2つ目、製品名・型番・数字の発音を重点的に聴くこと。製品名を含むセリフで試すほうが、サンプルを聴くだけより信頼できます。3つ目、ブランドトーンを言語間で揃えること。中国語版が明快なら、英語版で低くゆったりした声を選ぶのは避けましょう。
言語ごとに同じ話者である必要はありません。中国語は女性声、英語は男性声でもまったく成立し、各言語のトーンが同じブランドを指していれば十分です。言語をまたいで「まったく同じ声」を追うと、各言語で発音の質を犠牲にしがちです。それは多言語ナレーションの基準ではないのです。
各言語でボイスを決めたら記録しましょう。エンジン名とボイス名です。同一言語の全セグメントでその1つを使い、途中で変えません。
言語ごとの長さの違いを処理する
同じナレーションでも、訳文の長さは言語によって当然変わります。ある言語は5秒で言い切れるのに、別の言語は7秒かかる。同じ映像ウィンドウでも長さがまちまちになるのが、多言語ナレーションと単一言語ナレーションの最大の違いです。
処理の順序は、まず実測、次にスクリプト修正、最後に話速です。
- 各言語の各セグメントを生成し、再生バーに表示される総尺を記録します。各言語の全セグメントを、映像尺とセットでソーススクリプト表に書き込みましょう。
- ある言語版が映像より長い場合、まずスクリプトを直します。聞いても聞かなくてもよい修飾を削り、長文を分割し、句読点で間をコントロールします。文案を削るのは余分な負担の除去で、伝えるべき情報は1つも削らない。話速を調整するより効果的です。
- スクリプトを最小限まで削ってもまだ足りないときに、初めて話速を微調整します。話速スライダーの範囲はエンジンごとに異なり、エンジンを切り替えるとパラメータもデフォルトに戻ります。各言語のボイスは別々のエンジン由来であることが多いため、調整済みの話速はソーススクリプト表に記録し、セグメント生成時にその値へ戻しましょう。
絶対に守りたいのは、製品アピールのキーアクションを尺短縮の犠牲にしないことです。フタをひねる、ボタンを押す、完成品のクローズアップといったデモ映像は、ナレーションを削ってでも話速は自然なまま保ち、吃音ぎみに早口にしたり、動作ショットを切ったりしません。どうしても収まらないナレーションは、次のショットへ流すほうが、無理に詰め込むより自然です。
ページに保持される結果は1セグメントだけ。多言語・複数セグメントの正攻法は、1段ずつ生成、1段ずつダウンロード、1段ずつ記録です。全音声トラックを一括で取得しようとしないことです。
音声トラックを書き出し、バージョンファイルを整理する
ダウンロードしたMP3のファイル名は pixmind-tts- で始まり、生成時刻のタイムスタンプが続きます。多言語・複数セグメントをダウンロードすると、タイムスタンプだけではどれがどれだか分からなくなるので、言語とバージョンですぐリネームしましょう。例:
- 音声トラック:
product-demo_zh_opening_v2.mp3、product-demo_en_opening_v2.mp3 - 字幕:
product-demo_zh_v2.srt、product-demo_en_v2.srt
命名ルールは、固定されていれば機能します。プロジェクト、言語コード、セグメント、バージョン番号。チーム内で揃えれば十分です。
音声トラックを動画へ組み込む作業は、外部の編集ソフトで行います。ソフトは何でもよく、各言語で同じ手順を繰り返します。
- 各言語用にタイムラインを複製(または新規プロジェクトを作成)し、映像とその言語の全音声トラックを読み込みます。
- ソーススクリプト表に従って各ナレーションを映像に合わせ、キーアクションの位置でナレーションが被っていないかを重点確認します。
- 全体を続けて聴き、音量とつなぎのリズムに問題がなければ、その言語版の完成動画を書き出します。
字幕は言語ごとに個別に作り、各言語の確定版の実際の音声を基準にします。ソーススクリプトをそのまま字幕にしないこと。訳文は修正され、間は調整され、話速も合わせ込まれているので、タイムラインはとっくに合わなくなっています。動画→SRT変換で各言語の完成動画から字幕をそれぞれ生成し、ファイルを受け取ったら編集ソフトに戻って固有名詞と文の区切りを確認しましょう。
よくある質問
入力したスクリプトを自動翻訳してくれますか?
しません。テキスト読み上げは、入力されたテキストを読み上げるだけです。各言語版はツールの外の翻訳・校閲プロセスで準備し、確定後に貼り付けて生成します。ツール内で調整できるのはボイス、話速、音量で、テキストそのものは変更しません。
言語が違ってもまったく同じ声を保てますか?
求めませんし、発音とトーンを同時に最適にすることも通常できません。ボイスは言語ごとに選び、言語のプルダウンは各エンジン自身のカタログ由来です。言語ごとに別のボイスを使うのが自然な姿です。判断基準は発音の正確さとブランドトーンの統一で、「同じ人と聞き分けられるか」ではありません。
同じ映像尺に訳文ナレーションが収まらないときはどうしますか?
順番に対処します。まずスクリプトの修飾成分を削り、間を調整。それでも足りなければ話速で小幅に補正。それでも収まらないなら、そのナレーションを次のショットへ移すか、その言語版だけ映像のテンポを微調整します。製品デモのキーアクションのために削らないことです。
2言語版の冒頭から始める
最初から全編を作る必要はありません。冒頭の1セグメントを選びましょう。固定用語と翻訳対象テキストを整理し、2言語の話し言葉版を作り、各言語のボイスを選んで音声トラックを1本ずつ生成、2本の実測尺と映像ウィンドウを比べます。この区間を通せば、残りのセグメントと言語は、同じループの繰り返しです。



